
em菌は「環境にやさしい」「自然な土作りができる」といったイメージで、多くの家庭や農業現場で利用されてきました。
しかし最近では、「em菌 デメリット」と検索する人が増えています。
効果なしという声、危険性を指摘する意見、さらには嘘やニセ科学とまで批判される背景には何があるのでしょうか。
em菌を畑にまく、土壌改良に使う、農業で活用するといった使い方には、確かにメリットもある一方で、見落とされがちなデメリットも存在します。
とくにエビデンスが不十分である点や、成分が不明瞭で「怪しい」とされる側面については、科学的な視点から検証する必要があります。
この記事では、em菌のメリット・デメリットを冷静に整理し、「効果なし」と言われる理由や批判の根拠を明らかにしていきます。
em菌の使い方(農業編)を見直したい方、土作りや土壌改良への応用を検討している方にとって、誤解を避け、適切に判断するためのヒントとなる情報をお届けします。
- em菌に関する科学的根拠やエビデンスの有無
- em菌の使い方によるリスクや危険性
- 宣伝内容と実際の効果のギャップ
- 土壌改良や農業利用におけるメリットとデメリット
em菌のデメリットとは何か?科学的根拠に基づく検証


- em菌は本当に効果なしなのか?研究結果から読み解く
- em菌の安全性と「危険性」:過剰使用・誤用のリスク
- 相次ぐem菌への批判、その背景にある課題とは
- em菌の効果は「嘘」か?誇大広告とユーザー誤認
- em菌はニセ科学なのか?科学的根拠と疑問点
- em菌が「怪しい」とされる理由:成分と構造の不透明性
検証ポイント | 具体内容 |
---|---|
万能効果の科学的裏付けの薄さ | EM菌が農業・環境・健康・放射能対策など万能であるという主張は、科学的根拠に乏しいと批判されている |
実際の微生物構成との食い違い | メタゲノム解析では光合成細菌が未検出、EM菌の構成が不透明であった |
再現性に乏しい研究結果 | 公的研究では効果が他の微生物資材と同等か否か不明瞭で、信頼できる独立検証は少ない |
メタゲノム解析の信頼性担保 | 次世代シーケンサーによる網羅的分析は培養法に依存せず、客観性が高い手法とされる |
地方自治体でも科学的懸念表明 | 鎌倉市議会ではEM菌の効果に科学的根拠が乏しいとして環境省に意見書を提出 |
em菌は本当に効果なしなのか?研究結果から読み解く


em菌は「環境にやさしい」「土が元気になる」などと広く宣伝されてきましたが、その効果については科学的に明確に証明されていない点が多くあります。実際のところ、専門家や研究機関による検証では、期待されたほどの成果が確認できなかったという報告も目立ちます。
特に、土壌改良や水質浄化においては、EM菌を使ったからといって劇的に良くなったというデータはほとんど見当たりません。たとえば、メタゲノム解析という最新技術を使ってEM菌の中身を詳しく調べたところ、パンフレットなどで紹介されていたはずの「光合成細菌」が検出されなかったという結果も出ています。つまり、想定されていた微生物が実際には含まれていなかったということです。
また、農業利用においても「EM農法を取り入れたが、収穫量や作物の品質に大きな変化がなかった」という現場の声がある一方で、「使い方次第で一定の改善は見られた」とする報告もあるため、一概に「まったく効果がない」と断定することもできません。ただし、その効果が再現性に乏しく、使う環境や条件によって結果が大きく異なるのは事実です。
このように、em菌には「効いたように見える」ケースもありますが、科学的に確かな根拠に基づく効果とは言い難いというのが現状です。感覚的な評価や口コミだけで判断するのではなく、冷静に研究結果を参考にすることが重要です。
期待される効果 | 研究・調査結果 | 出典 |
---|---|---|
光合成細菌が含まれるとされる (Rhodopseudomonasなど) | メタゲノム解析でこれらの菌種が未検出 | 片瀬久美子氏の解析レポート |
抗酸化作用により環境改善や健康効果 | EM液は糖蜜対照より抗酸化力が高いという実験結果あり | J‑Stage公開の抗酸化測定研究 |
農業で土壌改良、収量・品質の向上 | 一部大学研究で収量増報告ありも、他には効果なしとの否定的結果もあり | Wikipedia「有用微生物群」情報 |
水質浄化や底質改善 | 学術調査では明確な改善は確認されず、逆に汚染悪化の可能性も指摘 | 八重学園調査PDF報告 |
健康食品としての体調改善 | 乳酸菌・酵母は発酵食品由来だが、EM特有の健康効果は証明されず | EM公式サイト/健康情報 |
em菌の安全性と「危険性」:過剰使用・誤用のリスク


em菌そのものは、一般的には人体に有害な成分を含んでいないとされています。主に乳酸菌や酵母など、人間の生活に古くから使われてきた微生物で構成されているため、安全とされるケースが多いです。ただし、これはあくまでも「適切に使用した場合」に限られます。
近年では、em菌の培養液を飲んだり、点眼したりするような使い方が一部で広まっています。しかし、これは非常に危険な行為です。特に、非加熱の培養液には「アシネトバクター属」と呼ばれる細菌が含まれることがあり、これは病院などで免疫力が落ちた患者から検出されることもある日和見感染菌です。このような菌が体内に入ると、健康被害を引き起こすおそれがあります。
また、em菌を畑や庭に多量にまいたり、希釈せずに植物に使ったりすると、酸性が強すぎて植物が枯れてしまうこともあります。農業用途であっても、濃度や使い方を間違えると逆効果になる可能性があるため注意が必要です。
さらに、em菌を洗濯に使用する人もいますが、過剰に使うと洗濯槽の裏側の汚れが浮き出て逆に悪臭がすることがあります。水に含まれる糖蜜成分によって白い衣類が変色してしまうといったトラブルも報告されています。
このように、em菌は「使い方を間違えると危険がある」ことを知っておくことが大切です。安全性が高いと言われていても、用途外の使い方や過剰な期待は避け、正しい情報に基づいて活用するようにしましょう。
リスク項目 | 具体的内容 |
---|---|
アシネトバクター属の混入 | 非加熱のEM培養液にAcinetobacter ursingiiが多数検出され、免疫弱者に感染リスクあり |
抗菌薬耐性リスク | アシネトバクター属は多剤耐性菌として院内や環境由来の感染源となる可能性あり |
植物への生育障害 | EM原液(pH≈3.5)を希釈せず使用すると葉焼けや根へのダメージを引き起こす |
希釈液の保存劣化 | 希釈後2–3日経過すると腐敗やカビ混入によるトラブルが増える |
過剰使用による土壌バランスの乱れ | 散布量が多すぎると、土壌の微生物バランスを崩し、逆効果となる可能性あり |
相次ぐem菌への批判、その背景にある課題とは


em菌が批判される理由の多くは、「効果を裏付ける科学的根拠が乏しい」「過剰な万能アピールがされている」といった点にあります。特に、環境や健康に対する幅広い効果をうたった表現が多くの場面で見られることから、専門家や研究者からは疑問視されるようになりました。
em菌はもともと、農業資材として土壌改良や堆肥づくりのために開発されたものでした。しかし、次第にその利用範囲は広がり、水質浄化、放射能対策、果ては健康食品や飲料としての活用にまで及ぶようになります。このような展開の中で、「効果がなければ使い方が悪いだけ」という主張や、「放射線を無害化できる」といった科学的に説明しにくい言説が登場し、批判の声が高まることになりました。
また、公共の川や海にem菌の活性液や団子を投入する運動も問題視されています。一見、地域活動としては善意に基づく行動のように見えますが、専門機関による調査では水質の改善効果は確認されていません。むしろ、不要な有機物を水中に増やし、環境負荷になるリスクがあるという指摘もあります。
このように、em菌への批判は単に効果がないという点に限らず、科学的な検証を経ていないまま社会に広まってしまったこと、そしてその過程で無責任な情報発信が行われたことにも起因しています。必要なのは、一方的な肯定でも否定でもなく、客観的な事実に基づいた評価です。
批判内容 | 詳細説明 |
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疑似科学的万能主張 | 放射能無害化、病気治癒、耐熱1200℃など科学的裏付けのない効能が宣伝されている |
福島除染での過剰展開 | 東日本大震災後、科学的根拠なしに大量散布され専門家から懸念が示された |
批判者への訴訟圧力 | EM推進側が批判記事や批評者に名誉毀損訴訟を多数提起、科学的議論を阻害した |
教育現場・公共活動への導入 | 学校プール清掃や河川投入など公共教育に「ニセ科学」が採用された事例が批判対象に |
学術界からの懐疑 | 大学教授らによるメタ科学的評価で「科学的根拠なし」「ニセ科学」と明言されている |
実際、公共の場でのEM菌使用(川や海への投入など)に対しては疑問の声も上がっており、環境省による事例調査でもその問題点が指摘されています。
em菌の効果は「嘘」か?誇大広告とユーザー誤認


em菌に対して「嘘ではないか」と疑われるのは、その宣伝内容と実際の効果との間にギャップがあるからです。たとえば、「飲めば体が元気になる」「土が劇的に変わる」「放射能まで無害化できる」といった情報が流布されてきましたが、それらの多くは科学的に裏づけられていません。
実際、em菌の主な構成成分として紹介されている「光合成細菌」については、メタゲノム解析によって検出されなかったことが報告されています。つまり、存在すると言われていた菌が、培養液の中に確認できなかったということです。このような状況では、「実際に入っているのか?」「言われている通りの作用があるのか?」と疑問を持たれるのも当然でしょう。
さらに、em菌を使った製品の中には、500mlで4,500円もする飲料水も存在します。この価格設定と内容を比べたとき、多くの消費者が「本当にその価値があるのか」と感じるのは自然な反応です。特に、健康への効果が科学的に確認されていない場合、それを信じて購入した人が「騙された」と感じるリスクは高くなります。
このような誤解が生まれる背景には、販売側がメリットだけを強調し、リスクや限界についての説明を十分に行ってこなかったことが挙げられます。製品そのものが「嘘」だと言い切るのは難しいですが、少なくとも「誤認されやすい売り方」がされていたのは事実です。使用する際には、冷静に情報を見極める視点が求められます。
広告主張 | 実際の調査・解析 | 代表的な出典・情報源 |
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EM菌に光合成細菌が含まれるため、土や水を活性化 | メタゲノム解析で主要な光合成細菌(例:Rhodopseudomonas, Rhodobacter)が未検出 | 科学系ウェブ記事、片瀬久美子氏の解析報告 |
放射能無害化/がん治療など、健康効果がある | 科学的裏付けなし。ニセ科学とも批判され、公的検証は未実施 | 疑似科学批判記事、日刊SPA!等 |
飲めば体調が良くなるという健康食品の宣伝 | 乳酸菌・酵母は発酵食品由来だが、EM特有の効果は証明なし | EMグループ公式情報、科学的解析結果 |
ユーザーの使用感・好転反応に基づく口コミ多発 | 感覚的体験はあっても、統制された実験による検証がほぼ存在しない | 疑似科学警鐘記事、ニセ科学批判 |
高額なEM-X GOLDなどの製品価格設定 | 価格に見合う科学的効果は確認されておらず、誇大広告の疑い | EM製品価格調査、消費者庁の規制事案など |
なお、環境省は2018年の記者会見において、EM菌の水質浄化に関する効果について「科学的根拠が確認されていない」と明言しています。詳しくは環境省の記者会見録をご覧ください。
em菌はニセ科学なのか?科学的根拠と疑問点


em菌が「ニセ科学ではないか」と言われるのは、効果の主張に対して十分な科学的裏付けがないからです。特に問題とされているのは、「放射能を無害化できる」「がんに効く」「1200度の熱にも耐える」など、常識的に考えて信じがたい内容が、販売ページや講演などで公然と語られてきた点です。
多くの人は、em菌が乳酸菌や酵母といった「発酵に使われる微生物の集合体」だと聞いて安心しがちですが、実際にその中身がどうなっているかを詳細に確認するのは難しいのが現実です。最近では、第三者による「メタゲノム解析」が行われ、そこからem菌の成分を網羅的に調べた結果が発表されています。この解析では、主張されていたような光合成細菌は検出されませんでした。つまり、em菌が本来含んでいるはずの特徴的な菌が、実際には含まれていなかったのです。
また、em菌の効果を示すという報告はありますが、ほとんどがメーカー発信のもので、学術的な論文や独立機関の実証が非常に少ないのも疑問を持たれる理由の一つです。さらに、効果がなかった場合に「使い方が悪かった」と片づけられてしまう構造も、ニセ科学と見なされる原因となっています。
このような状況では、信じて使っている人がいるからといって、それが科学的な根拠を持つとは限りません。em菌は、日常的に使って悪いものではないかもしれませんが、過度な効果をうたう表現については、慎重に受け取るべきでしょう。
em菌が「怪しい」とされる理由:成分と構造の不透明性


em菌が「怪しい」と感じられる理由の一つに、その成分や仕組みが明確に公開されていないという点があります。多くの人が「善玉菌の集まり」や「自然由来の微生物」といった説明で納得してしまいますが、具体的にどの菌がどれくらい含まれているのかを正確に知ることは難しいのが現実です。
たとえば、em菌に含まれるとされる「光合成細菌」については、実際に分析しても検出されなかったという報告があります。つまり、説明されている成分と実際に入っている内容に食い違いがある可能性があるということです。このように、商品の中身が使用者にはわからないまま販売されている状況は、不信感につながりやすくなります。
また、em菌はメーカーによって培養方法や菌種が異なることもあるため、品質が一定ではないという指摘もあります。これは、同じ商品名であっても中身の微生物の構成が違っているかもしれない、という意味でもあり、使用者側には見えにくいリスクです。
さらに、em菌を家庭で増やせるという仕組みも「何が増えているのか不明確」という懸念を招いています。米のとぎ汁や糖蜜を使って培養する方法が広まっていますが、そこにどんな雑菌が入り込んでいるかまでは誰も管理できません。見た目や匂いで判断するのは限界があります。
このように、em菌が「怪しい」と言われる背景には、見えにくい中身とそれに依存する使い方が深く関係しています。信頼できる商品であればこそ、より透明性のある情報公開が求められるべきでしょう。
疑念点 | 具体内容 |
---|---|
成分情報の非公開 | EM菌製品には乳酸菌や光合菌などが含まれるとされるが、詳細な菌種リストや配合比率は未公開である |
想定菌の未検出 | メタゲノム解析で、本来含まれるはずの光合成細菌(Rhodopseudomonasなど)が検出されなかった |
80種以上の菌含有は謎 | EM菌が「80種以上」とされるが、実際には培養・解析で確認された菌種は限られ、不透明である |
自家培養時の雑菌混入リスク | 家庭で米ぬかや糖蜜から培養する方法では、何が増殖しているか不明で、雑菌混入の懸念がある |
品質バラつきが大きい | 製品やロットによって菌種や量に差があり、消費者が安心して選べる保証がない |
em菌のデメリットを理解し、適切に判断するために


- em菌のエビデンスとは?メタゲノム解析の知見
- em菌のメリットとデメリットを正確に比較する
- em菌による土作り、その利点と問題点を考える
- em菌を畑にまくときに起き得る影響とは
- em菌の使い方(農業編)における課題と改善点
- em菌による土壌改良の効果とその限界
em菌のエビデンスとは?メタゲノム解析の知見


em菌に関して「どんな微生物が含まれているのか?」という問いに答えるために行われたのが、メタゲノム解析という技術です。これは、em菌の液体の中に存在する微生物を網羅的に調べる方法で、実際にどの菌がどれくらい含まれているのかを明らかにするために使われました。
その結果、em菌の販売元が「含まれている」としていた代表的な光合成細菌(RhodopseudomonasやRhodobacterなど)は検出されませんでした。さらに、含まれていると説明されていた乳酸菌の種類についても、実際に見つかったものとは異なっていたのです。つまり、宣伝されている構成とは違う微生物が主に存在していたことになります。
また、培養されたem菌の液体からは、一般的に環境中に存在する雑菌が多く検出されており、目的としている微生物が優勢でないという点もわかりました。この事実は、「em菌は特別な微生物の集合体」というイメージとは大きくかけ離れています。
このように、メタゲノム解析によって、em菌に関する科学的な裏付けが十分とは言えない現状が浮き彫りになりました。見た目や効果の実感だけではなく、実際の中身を知ることが、正しい判断をするためには欠かせません。
検証項目 | 主な解析結果 |
---|---|
構成微生物の網羅解析 | メタ16S/ITS解析で「光合成細菌」(例:Rhodopseudomonas, Rhodobacter)が未検出。雑菌が多数占める結果となった |
解析方法の信頼性 | 次世代シーケンサーによるメタゲノム解析は培養に依存せず多様な菌の検出が可能 |
解析コスト・透明性 | 約70万円の私財による検証。生データの公開により第三者検証が可能な体制 |
万能説への批判 | 解析結果から「EM菌万能論」は科学的根拠に乏しいと指摘され、ニセ科学の懸念も提示されている |
解析技術の背景 | メタゲノム解析は土壌・水質・人体マイクロバイオームなど、幅広い分野で応用されており信頼性が高い |
国の科研費による調査では、EM菌の成分分析や有用性に関する詳細な検証が行われています。たとえば、この研究課題では、複数大学によってEM菌の効果が科学的に検証されました。
em菌のメリットとデメリットを正確に比較する


em菌には、良い面と注意すべき面の両方が存在します。そのため、使う前にしっかりと比較しておくことが重要です。
まずメリットとしては、家庭菜園や生ごみ処理などで発酵を助ける働きが期待されます。例えば、生ごみにem菌を加えることで、悪臭が減り、堆肥として再利用しやすくなることがあります。洗濯に使うと柔軟剤の代わりになったり、掃除に活用すれば汚れが落ちやすくなるという報告もあります。こうした使い方は、自然な生活を目指す人たちに支持されてきました。
一方で、デメリットも無視できません。まず、科学的な根拠が十分でないため、思ったような効果が出ないことがあります。em菌を薄める、水と混ぜる、保存する、といった作業には手間がかかり、続けるのが大変という声もあります。また、農業で濃度を間違えて使用すると、植物に悪影響を与える可能性もあると言われています。
さらに、em菌の中には高額な商品もあり、費用に見合う効果が得られないと感じる人もいます。品質のばらつきも問題で、同じように見える製品でも中に含まれる菌の種類や量が異なるケースもあります。
このように、em菌は一部の場面では役立つものの、使い方を誤ると逆効果になる恐れもあります。実際の効果やコスト、管理の手間などを冷静に比較し、自分に合った使い方かどうかを判断することが大切です。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
消臭・掃除 | EM生活公式によると、空気清浄やトイレ掃除で悪臭を分解できる | 糖蜜成分による洗濯槽汚れの浮き出し・色移りが起きる報告あり(公式FAQ) |
土壌・家庭菜園 | EM生活や農業事例で、野菜の生育改善・土の菌活性が期待できる | 酸性度が高く、希釈ミスで植物に焼ける・生育障害を起こす危険あり |
環境改善(畜舎・水質) | 畜舎では悪臭抑制と肥料化、水辺では底質改善と魚介類の再生に寄与した報告あり | 水質浄化は科学的に効果不明・場合によっては有機汚濁を進める可能性あり |
コスト・運用性 | EM・1は米ぬか等で自家培養可能で初期コストが抑えられる | 希釈や保存に手間がかかり、ボカシや活性液の管理が面倒なケースも |
科学的根拠(エビデンス) | 構成される乳酸菌や酵母の存在は確認されているが | メタゲノム解析で想定の光合成細菌が未検出、科学的必然性に疑問符 |
em菌による土作り、その利点と問題点を考える


em菌を使った土作りには、一部で「ふかふかの土ができる」「病気に強い土になる」といった声が聞かれます。乳酸菌や酵母など、もともと発酵に関わる微生物が含まれているため、有機物を分解して土に良い成分を与える働きが期待されてきました。
実際に、米ぬかや油かすといった有機物にem菌を加えて発酵させると、ボカシ肥料として使えるようになります。このボカシを畑に混ぜることで、団粒構造と呼ばれる粒状の土ができ、水はけや通気性が良くなると言われています。その結果、根の張りが良くなり、作物が育ちやすい環境が作れるというわけです。
ただし、em菌による土作りには注意点もあります。まず、使用するem菌の種類や状態によって、効果にばらつきが出やすいこと。商品によっては含まれる菌の種類が不明確で、どのような作用をするか予測できない場合があります。また、土壌の環境によってはem菌がうまく働かないこともあるため、思ったほどの変化が見られないケースも少なくありません。
さらに、発酵が不十分な状態で畑に投入すると、かえって悪臭が出たり、植物の根にダメージを与えることもあるので注意が必要です。土づくりにem菌を取り入れる際は、適切な材料や管理方法をよく理解してから使うことが大切です。
項目 | 詳細内容 |
---|---|
ボカシ肥料による土壌改良効果 | EMボカシ(米糠・油粕+EM菌)を混ぜた土は団粒構造が促進され、水はけや通気性が向上しやすい |
有機物分解の補助 | 乳酸菌・酵母・放線菌などの微生物が有機物を発酵分解し、植物が吸収しやすい養分に変化 |
効果のばらつきと条件依存性 | 土壌の既存微生物バランスやpH・温度条件によってはEM菌が定着せず、効果が見られないことがある |
雑菌混入・発酵失敗リスク | 発酵不十分で土に投入すると悪臭やカビ発生、作物の根障害を引き起こすこともある |
継続・コスト面の課題 | 材料(米糠・油粕・糖蜜)や希釈管理、定期投入の手間がかかり、継続を断念しやすい |
em菌を畑にまくときに起き得る影響とは


em菌を畑にまくことで「作物の育ちが良くなる」「病気が減る」といった期待が寄せられています。しかし、使い方や環境によっては望ましくない影響が出ることもあります。特に濃度や使用タイミングを誤ると、植物の根に負担をかけてしまう恐れがあります。
例えば、em菌の原液は酸性が強く、直接植物の葉や根にかかると、葉焼けや根腐れを引き起こすことがあります。そのため、必ず薄めて使う必要がありますが、この「適切な希釈」ができていないと、かえって土壌や作物に悪影響を与えてしまいます。
また、畑にまいた後の変化がすぐに見えるとは限りません。em菌は微生物であるため、働くには適度な温度、湿度、有機物などの条件が整っていなければなりません。条件が合わないと菌は十分に活動せず、期待した効果が現れないことがあります。
さらに、使い続けることで土の微生物バランスが偏ってしまう可能性もあります。善玉菌ばかりが増えるように見えて、実際は自然界の微妙なバランスを崩してしまう場合もあるからです。農薬ほどの強い影響ではないものの、「自然派=無害」と思い込みすぎないことが大切です。
このように、em菌を畑で使う際には、量・希釈・使用時期などをしっかり管理することが重要です。安易に「撒けば良くなる」と考えるのではなく、作物や土の様子を見ながら慎重に判断しましょう。
影響項目 | ポジティブな作用 | 注意すべきリスク |
---|---|---|
土壌微生物バランス | EM散布で乳酸菌などの善玉菌が増え、有害菌の抑制に寄与する報告あり(EMグループ公式) | EM原液の濃度が高すぎると酸性が強まり、植物への生育障害を招く可能性あり(EM研究所FAQ) |
有機物の分解・ボカシ肥料化 | EM活性液+米ぬかで雑草や作物残渣が堆肥化、畑へのマルチ資材化が可能とされる(地球環境共生ネット) | 管理ミスや希釈不足で腐敗臭や雑菌の増殖が起こるリスクあり(EM研究所FAQ) |
作物の収量・品質向上 | 比嘉教授によるタイでの実証例では、「EM堆肥使用で稲の収穫量が化学肥料の2倍」 | 一方、スイスでのフィールド試験では収量や土壌改善は確認できなかったとの調査報告も |
土構造への影響 | 通気性や水はけの改善が期待されるが | EM-A散布により土壌の有機炭素や水安定団粒の減少が確認され、水はけ悪化や圧密化の懸念あり(MDPI土壌論文 |
環境負荷・継続性 | 化学肥料の過剰使用を減らし、持続可能な土壌管理の一助となる可能性あり(EMレビュー) | 気候・土壌条件によって効果がばらつき、継続投入が必要で管理が煩雑になるケースあり |
EM菌の使用によって一部地域では有機物の過剰供給が問題視されています。この点については、環境省の報告資料にも記載があります。
em菌の使い方(農業編)における課題と改善点


em菌は「農薬に頼らず土を元気にする資材」として注目されてきましたが、現場で使うにはいくつかの課題があります。特に、使い方を誤ると逆効果になることもあり、効果を引き出すにはコツと管理が必要です。
一つ目の課題は、希釈の手間と濃度管理です。em菌の原液はそのまま使うと強すぎて作物にダメージを与える可能性があります。そのため、水で数百倍に薄めて使用する必要がありますが、薄めすぎると効果が実感しにくく、濃すぎると植物に害を与えることがあります。この調整が初心者には難しいという声もあります。
また、em菌は光や温度に影響されやすいため、保管や使用時期にも注意が必要です。暑すぎたり寒すぎたりすると菌が死んでしまい、意味がなくなることもあります。特に、活性液として培養したものは日持ちせず、使い切るタイミングを逃すと無駄になってしまいます。
さらに、畑全体にまく場合は、手間やコストもかかります。液体なのでまきやすい反面、広範囲に均一にまくには時間と労力が必要です。この点も農業現場では負担になりやすく、長く続けるには工夫が求められます。
こうした課題に対しては、あらかじめ決められた希釈倍率を守ることや、小規模から試して適切な量を見極めるなど、地道な調整が有効です。また、季節や天候に合わせて使用計画を立てることで、ムダを減らすことができます。使い方に慣れてくると、うまく活用できるようになることもあるため、焦らず取り組むことが大切です。
課題 | 具体内容 | 改善策 |
---|---|---|
微生物定着の難しさ | EMだけを数回散布しても、土着菌の種類や土壌条件によって定着しにくい報告あり | 有機物(米ぬか・糖蜜)を大量施用し、こまめに散布することで定着率を高める |
品質のばらつき | 製品によって微生物群構成に差があり、均一な効果を得にくい状況あり | 高品質EM資材の安定供給と製品開発、講習会や情報提供による農家支援 |
希釈・散布管理の負担 | 希釈倍率や温度・保存状態が影響し、適切管理が必要 | 散布マニュアルの整備や、葉面散布と土壌への併用、適切なタイミング(雨前後など)の指導強化 |
土壌条件による効果差 | 土壌成分・環境によっては効果が現れにくいケースあり | 事前の土壌診断と有機物や緑肥との併用、輪作技術との連携(地球環境共生ネット) |
農家の技術・知識不足 | 適切な使い方・保存法が分からないケースが多い | 研修プログラムや補助制度、オンライン・現地講習の強化 |
em菌による土壌改良の効果とその限界


em菌を使った土壌改良は、「微生物の力で健康な土をつくる」という考え方に基づいています。たしかに、乳酸菌や酵母などが土の中で有機物を分解し、植物の成長を助ける栄養に変える働きがあるのは事実です。そのため、em菌を加えることで、ふかふかした土になり、根が張りやすくなるとされています。
しかし、すべてのケースでこうした効果が出るとは限りません。em菌の働きは、土の状態や気候、まくタイミングなどに大きく左右されます。もともと微生物が豊富でバランスの良い土には、em菌を加えても目に見える変化が出にくいこともあります。逆に、極端に痩せた土では、em菌だけで土壌を劇的に改善するのは難しいかもしれません。
また、em菌をまいたからといって、すぐに結果が出るわけではないことも多く、数週間から数か月かけてじわじわと土に影響を与えるという点も、利用者によっては「効果がない」と感じられてしまう一因です。さらに、em菌が期待されるほど増殖せず、雑菌に負けてしまう場合もあります。
こうした限界を理解した上で使うことが大切です。em菌だけに頼るのではなく、堆肥や有機物と併用したり、土壌のpHや水はけといった他の条件も整えることで、初めてその力が活きると考えられます。単独で万能な資材というよりは、あくまで「補助的な選択肢」として捉えると、効果的に活用できるでしょう。
効果・期待 | 具体的内容 | 調査・出典 |
---|---|---|
土壌微生物の活性化 | EM活性液+米ぬかで、微生物相が多様化し、ミミズなどの土壌生物増加 | EMLabo「土まるごと発酵」 |
土の団粒化と通水性向上 | EM菌により土が団粒化し、水はけや根張りが改善される | ほんだ農場 EM教室 |
抗酸化物質による塩害軽減 | EMが作る抗酸化物質により、土壌の塩分負荷を軽減 | EMグループ農業ページ |
病原菌抑制 | 乳酸菌・酵母などにより土壌病原菌の活動が抑えられる | EMグループ農業ページ |
効果に条件あり | 土壌条件次第で効果の有無に差あり。粒度・乾湿・環境に左右される | 自然農法普及協会・研究報告 |
実際、中央環境審議会の議事録でもEM菌に対する科学的な見解や限界について議論されています。関連する審議内容はこちらで確認できます。
まとめ:em菌のデメリットとは?
記事をまとめます。
- EM菌の効果には科学的な裏付けが乏しい
- メタゲノム解析で主張された菌が確認されなかった
- 水質浄化や土壌改良の効果に一貫性がない
- 使用環境によって効果に大きな差がある
- 誤った使い方で植物や土壌に悪影響を与える可能性がある
- 非加熱の培養液には人体に有害な菌が含まれる恐れがある
- em菌を飲用や点眼する行為は危険とされる
- 濃度管理や希釈が難しく誤用のリスクがある
- 洗濯用途では悪臭や衣類の変色を招くことがある
- 誇大広告が多く、実際の内容と一致しないことがある
- 製品によって中身や品質にばらつきがある
- 一部の製品は価格に対して効果が見合っていない
- 自家培養による品質管理の不確実性がある
- 公共の水域への投入は環境負荷の懸念がある
- 「万能効果」をうたう表現が信頼性を損ねている
- 肯定意見の多くがメーカー発信である
- 再現性の低さが科学的評価を困難にしている
- 見た目や匂いで効果を判断するのは不確実である
- EM菌の安全性は「正しい使用」が前提である
- 効果を感じたとしても因果関係が明確ではない